料理に「ひと工夫、ひと手間」をかけると言いますが、
それは労力を自分に褒めているだけであり、必ずしも
食べる方の満足度に繋がるとは限りません。
料理の基本である下ごしらえや仕込みの動線作りは、
迅速かつ正確に手際良く調理が進むシナリオです。
魚に血やうろこがついていたり、きのこや野菜に砂や枯葉が
付いていたらどうしますか・・
仕入れる量から始まり洗う、数える、切る、茹でる、
煮るの作業は、基本的な流れであり、当たり前の料理工程です。
素材を生かすには、シンプルに調理することがいちばん。
ところが近年、他店の料理屋、FC居酒屋などの料理をみると、
手をかけなくてはいけない、手をかけたもの、見た目が綺麗な
料理こそが料理だと思っている人が多い様です。
和食は、素材を生かすもの、手をかける事は手数を増やすことでもあり
食材に触れれば触れた分だけ傷みが早く、鮮度が落ちます。
見た目を良くしようと意識して手数を増やせば、素材は痛み、味に
ブレがかかり不味くなります。それは場違いなひと手間。
毎日の料理は、食材に手をかけない。
素材をそのままいただければ良いのではないかと感じます。
家庭料理は手をかけないもの、長時間かけて作る場合もありますが、
時間をかけないことが、美味しさにつながります。
われわれ調理師が日々口にする、まかない料理も同じ事ですね。
本日のチキンカツ、揚げすぎず丁度良いジューシーさと、シンプル
でちょっぴり甘辛なソースに心が癒されました。